第116号:耕と龍。

今日は徹底して家族サービスにすることにした。
どうせしっかりと楽しむのであれば、怒らないほうが子供のためにも自分のためにも良い。
ということで、目標を「1回も怒らない」ということに設定して臨んだ。

朝はみんなで歌謡曲を聴きながら目覚めた。
この歌謡曲も音楽のプレゼントとしていただいたものであり、家族はご機嫌だった。
朝食をとり、さらに、鯉のぼりを上げた。
久々に庭に出て畑の上の空気を吸ったが、ちょっとムワッとするが、
肺の奥から健康になりそうな気がした。

そして、妻ともいろいろと協議の結果、耕、龍の2人ともつれて、
鬼の城という山城の散策コースを歩くことにした。
耕は5歳7ヶ月、龍は1歳6ヶ月という幼さであるがゆえに、
いろいろな山での課題があるのに、その中でもっとも過酷なコースを選んでしまった。
大人の足で、4km、1時間40分というコースである。

車で現地に着くと、まず竹の杖が用意されていて、自分と耕が1本ずつ持ち、
耕は、龍に1本持たせた。
龍は途中でかならず持たなくなるし、自分が抱っこをするのがわかっていたので、
耕に持たせるなと指示したが、耕は譲らず、1人1本もってコースに向かった。
この時、私は怒っていた。

それからは、思いのほか簡単に3人はコースを歩き始めた。
龍は小さいので、コースをちゃんと歩いてくれないかと思っていたが、
まっすぐ前を見て、段々や上り下りをもろともしないで進んでいった。
もちろん、段々が大きいので、その時、龍の杖は耕に持ってもらった。

復元された西門、そして、くまばちの挨拶を受けながら、数種類のアゲハチョウ、
山つつじ、いろいろな木の新芽を味わいつつ前進した。
東門跡付近では、切り立ったがけの上に立ち、足下に広がる景色を眺め、
3人で鼻から大きく息を吸った。
本当においしい空気だった。

そこでトラブルが発生した。
東門付近はちょうど2kmくらい進んだところで、ちょうど中間地点なのだが、
なんと、持参した水がほぼなくなってしまったのである。

龍のほっぺを触ると、帽子はかぶっているものの、かなり歩いたからだろうか熱く感じる。
このまま歩かせるのは危険ではないかという思いがこみ上げてきた。
私は、龍をだっこして歩くことを選んだ。
そして、最初1人1本ずつもった3本の竹の杖を、耕にもたせた。

耕は、3本は嫌だと抵抗した。
私はだんだん腹が立ってきて、耕に行った。
「だから、言ったじゃないか! 龍のは要らないって!」
2回目怒ってしまった。

また、水がなくなったので、残りのわずかな水を飲むのに優先順を付けた。
龍 → 耕 → 自分(飲まない)
耕も納得し、龍が2回飲むと、耕が1回飲むくらいのペースで歩き続けた。
耕は兄貴らしく、ちょっと最初に不満そうな顔をしただけで、あとは納得して前に進んだ。

こんな状況になっても、子供はのんきなもので、いろいろなところに引っかかっては、
石を拾ったり、1つのものを凝視したりして立ち止まる。
私のほうは少しでも早く山を降りて、みんなに水を飲ませたかったので、
どうしても、先を急がせるよう促した。

このときに、私は耕にこんなことを言っていた。
「おまえは、お兄ちゃんだから、少し前を歩いて、龍と呼べ。」
龍をずっと抱っこしていられるわけではないので、龍が歩いているとき、
耕が少し先で呼ぶとひょいひょいと歩いてくれるのである。
それができていないと、「なんでできないんだ!」と怒りつつも、前に進んだ。

3人は私のピリピリのなかでも、いろいろな木や草や景色を眺めながら進んだ。
感覚としては、自分の気持ちも景色も十分に味わうことができないまま、
正直、この時は表面の薄っぺらいところで、楽しんだり、怒っているような気がした。
せっかく家族3人で歩いているのに・・・と思った。

私はこんな感じで、相変わらず怒っていて、変わることができなかったが、
フィニッシュでは3人は1人ずつの足で歩いていた。
耕が龍の前を歩いて、常に励ましてくれながら・・・。
りっぱな兄貴だと思った。

とても貴重な経験をさせてもらった。
自分は、自分の思い通りにならないと怒ってしまうことが非常に良くわかった。
こういった苛酷な環境であればあるほど、自分の感情をコントロールすることができていない。

耕のいろいろなことに興味や好奇心を持って見つめられたり、
周りの人のことを思いやる心をつぶしてしまわないように。

龍のおそれることなく、ぶつかっていったり、人を信じられる心を失ってしまわないように。

父として、自分の感情を優先するのではなく、子供たちの想いを感じてあげたいと思った。
しっかりと生きている実感を味わうために。
それが、家族の生きるしあわせにつながると思う。

もっともっと楽しい時間が作れるよう、自己管理が必要ですね。
でも、一緒にすごす時間が作れたことに本当に感謝です。
今日もありがとうございます。

«
»
 

トラックバックURL

コメント (2)

おはようございます。鉄じぃです。(^_^)

西田さんの名文に、おもわず途中吹き出しそうになりながら読んで
しまいました。(失礼)総社市内でそんなドラマがあったんですね。
鬼ノ城の周回トレッキングは、真夏だと大人でも体力が無い人には
厳しいくらいのハードコースです。途中に水やトイレもありません
から、一時間強の散歩コースだと思って入る人は偉い目に遭います。
(ちなみに蒜山でこれをやると遭難します)

以前は駐車場横の史料館もありませんでした。今では、史料館の中で
涼も取れるし、自販機も設置されており、随分快適な場所になりました。
それでも、小さなお子さんを連れての場合は、最初の四分の一(西門を
すぎたあたり)で引き返し、展望場から吉備路をゆーっくり眺める
くらいにしておく方が無難かもしれません。でもでも、そうした予備
知識無しで挑まれたのも、ハプニングやアドベンチャーを楽しむと
いう視点からは大正解だと思います。

うちのすぐ横の福山も、途中から登れば子どもの足でも30分くらいの
コースです。鬼ノ城ほどの浪漫はないかもしれませんが、ぜひお試し
あれ。

http://www1.odn.ne.jp/~cad93870/hukuyamajo.htm

鉄じぃさん ありがとうございます。
やっぱり浪漫ですよね。
福山も先日のお話では、
歴史的な魅力のある山ですね。
是非挑戦してみたいと思います。
毎度新鮮なネタですね。
また宜しくお願いします。

コメントを書き込む